12月13日 万葉苑だより

2020年12月13日

令和2年12月13日

 今日のテーマは「あべたちばな(くねんぼ)」

  吾妹子に遭わず久しも 甘美物(うましもの)安倍橘の 苔生すまでに

   作者不詳 巻11~2750

でした。

「クネンボ」は古くは珍果として暖地で栽培されていましたが、最近は殆ど見当たりません。
11月山口大学から依頼されて見本に枝葉を届けたところです。

苑の「クネンボ」は40年位前に、当時の温泉青果農協主任技師の池ノ上さんを通じて熊本から導入されたものです。甘美物(うましもの)とされていますが、試食してみますと酸が強いですがまずまずの味でしょうか。さすがに現在のミカンの先祖らしさはありました。これを常世の国から持ち帰った田道間守は菓子の神様(菓祖)として各地で祀られています。
道後の湯神社の境内にも豊岡の吉田神社の分社として祀られております。


 
 ところで師走も半ばを迎え、苑内は見事な紅葉に包まれてまさに錦繍の絶好機。今年の紅葉は格別の感です。この中、山之内平定さんの力作で新しい掲示板が設置されました。掲示板と言えば、これまでも小倉さんや大竹さんによる「万葉の花」の力作が展示されてきました。これからますますその機会が増えてくることでしょう。趣味のある方もどうぞ出品してください。


 
今日はまた新年を控えて、河本さん、山之内さんから立派なカレンダーを頂きました。また、丹原さんから愛宕柿、宮内さんからはヤーコンを頂きました。皆さんのいつも変わらぬご奉仕にも併せて感謝申し上げます。有難うございました。

(参加者:白石、辻内、ウス井、大竹、上甲、小倉、安永、辻原、山之内(保)、山之内(平)、瀬川、藤原、浜口、村上、重松、丹原、宮﨑(小)、宮﨑(悠)、竹松、河本、井上、弓場、宮内)

(藤原)

11月8日 万葉苑だより

2020年11月8日

令和2年11月8日

 今日のテーマは「おみのき…山部赤人巻3~322」でした。「皇神祖之 神廼御言乃敷座」に始まる萬葉集唯一の「温泉褒め歌」です。詠み人の山部赤人は伊予の久米部小磯に縁の宮廷歌人です。道後温泉にまつわる「聖徳太子の伊予温泉歌」とともに貴重な文学遺産です。

 この歌は道後温泉霊の湯(男湯)の湯釜に刻まれていますが他にはありません。万葉歌碑の絶品と言われる額田王の「熟田津の歌碑」を見るたびに、先輩たちの顔が浮かんできます。
赤人の「伊予の湯褒め歌」の碑を建立することは私たちの宿題ではなかろうかとつくづく思うこのころです。

 今日は朝から晴れて、万葉苑の桜やモミジが紅葉し初め漸く晩秋の気配。先週31日松山北高家庭クラブ120名による清掃活動の成果も落ち葉が一杯で残念でした。

 宮内さんがカシワ・カツラ・ヤマツツジを見つけてこられ捕植しました。三種とも苑にあったが縮小の時無くなっていました。結構入手が難しいものですが都合よく補植できて何よりです。

 苑内上段までの行く軽トラ用道路の、障害となっていた石を掘りだし・移動する作業では、宮内さんと東方さん(自衛隊OB)のチエンブロック操作に感心しました。

皆さんのいつも変わらぬご奉仕に感謝・感謝です。有難うございました。

(参加者:白石、大竹、竹松、小倉、井上、山之内、弓場、河本、瀬川、宮内、藤原、村上、宮﨑(さ)、宮﨑(ゆ)、浜口、重松、丹原、東方、辻内、安永)

(藤原)

10月11日 万葉苑だより

2020年10月12日

令和2年10月11日

 台風14号の影響を気遣っておりましたが、幸い殆ど影響もなく過ぎ去りました。朝から時折陽がさす秋日和、気温も19度とか結構熱いほどです。奉仕の方も19名お世話になりました。ミニ講座の前に三宅県議から最近の県政情報をご披露いただきました。

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 今日の万葉ミニ講座は「ユヅリハ」。正月のお飾りに使われる縁起の良い翼物です。

「ユヅリハ」は「譲る葉」で春に新しい葉(子供の葉)が伸びてから、古い葉(親の葉)が落葉することから、橙(ダイダイ)と共に代々家が継がれて栄えてゆくという縁起ものです。しかし、松山地方でも「ユヅリハ」を継承しているのは今では珍しくなりました。

 歌は

 「古に恋ふる鳥かも弓弦葉の 御井の上より鳴きわたり行く…弓削皇子」

この歌は弓削皇子が額田王に贈った歌です。

 額田王は万葉苑にも歌碑のある所縁の方ですが、この当時天智・天武の代とは時も隔たり、疎外された寂しい境遇にあったと思われます。その額田王に、やはり似たような境遇にあった弓削皇子の気持ちが表れています。

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 苑内のフジバカマに3頭のアサギマダラが飛んできておりました。アサギマダラは秋日本本土から南西諸島、台湾に移動することで有名。蝶の羽にマーキングして調査されていますが苑ではマーキングはしませんでした。

 
いつも変わらぬご奉仕有難うございました。

(参加者:白石、大竹、河本、辻原、辻内、三宅(ひ)、三宅(み)、上甲(あ)、上甲(か)、村上、重松、浜口、藤原、山之内、井上、丹原、宮内、小倉、酒井)

(藤原)

9月13日 万葉苑だより

2020年9月13日

令和2年9月13日

 台風後の奉仕日は不安定な天気予報でしたが、朝パラリと小雨があっただけで天気は回復。時折は秋らしい風もあり好天のお陰で18名の参加。

 今日の万葉ミニ講座は「セリ」。セリと言えば早春のもの。季節はずれの感がするが、実は愛媛万葉苑の万葉植物目録には150種採用されていますが、アザサを加えて151種となっています。たまたまその二巡目の最後に当たったのがセリでした。ミニ講座も都合302回目となりました。単純に計算しますと35年と2か月になります。あたかもこの日は私の95回目の誕生日。よい記念になりました。

 セリの歌は

  「丈夫と思へるものを太刀偑きて かにはの田井に芹子ぞ摘みける」

  巻20~4456…薛妙観命婦

これは橘諸兄が薛妙観命婦に贈った「芹と歌」に対する返歌です。おどけて感謝の気持ちを贈った歌です。

 今日は丹原さんが苑の中央にある五葉松の剪定をされていました。一寸した手入れで見事な形になりました。優れた技術に感心しておりました。

(参加者:白石、大竹、小倉、河本、上甲、井上、辻原、村上、浜口、辻内、宮﨑(さ)、宮﨑(ゆ)、藤原、丹原、重松、宮内、安永、瀬川)

 (藤原)

8月9日 万葉苑だより

2020年8月9日

令和2年8月9日

 梅雨明け後の奉仕日は猛暑の日。にもかかわらず20余名の参加。三宅県議一行のほか隊友会の皆さんお揃いで恐縮です。今日は神社の額田宮司さんから皆さんへ「お授けもの」を頂きました。有難うございました。


 

 今日の万葉ミニ講座は「かつら」と「さきくさ」。
実は私のミスで重複しましたので、季節柄「かつら」を選びました。

歌は作者不詳の

 「向つ丘の若楓木下枝取り 花待つい間に嘆きつるかも」

でした。

「かつら」を詠んだ歌は3首あるが、実体の「かつら」を読んでいるのはこの歌だけである。県下では面河の大成と、大洲の出石寺、伊予三島の巨木が有名。


 

 他に今朝の読売朝刊にあった、京大広井教授の「コロナ後、持続可能な社会に移れるか、分岐点は5年後」という記事を紹介。
全国で8万箇所ある「鎮守の森」の効用を披露した。「万葉苑こそそれにふさわしい鎮守の森」であると。


 

 苑内に嬉しい掲示板ができて、長崎大村の梅野幸代さんのお便りが目についた。

 「松山の万葉の道あゆみゆき むらさきの花出逢えてうれし」

と、歌が添えられていた。ご厚志とともに有難く頂きました。

 並んで、わがメンバーの大竹美沙子さんの絵手紙も展示されていました。
大竹さんの作品はたくさん拝見しましたがいつも感心しております。先の京大広井先生の説のように万葉苑のパワーポイントぶりを発揮しましょう。

(藤原)